無限のモノ

豊臣秀吉の面白いエピソードとして、彼は日本人の土地への執着心こそが争いと不和の原因であると考え、家臣の武将の欲望や関心を土地からモノ(茶の湯の茶器を代表とする美術工芸品)に移そうと尽力したといいます。
つまり、天下人である秀吉が『この茶器は、石高に換算すれば50万石は下らぬ逸品で、千利休もそれを認めている』といえば、武将が土地の代わりに 茶器をもらうことで満足したというのです。

これは、現代社会でも骨董品を愛玩する好事家の精神の源泉であり、本来、人間の欲求充足にはあまり貢献しないは ずの絵画や希少な石に数千万円の価格をつけることで、人間の欲求を分散することに成功しています。

ある人にとっては100円の価値もないものでも、有名な鑑定家が希少価値を認め相場を作れば、それが何千万円にもなる世界、そこに着目した秀吉は『有限の土地は分けるに限度があるが、無限のモノは分けるに限度なし』と考えたそうです。

現代社会は、生活水準という事では一部の貧困問題や深刻な格差を除き、かつての貴族階級よりも豊かで知的な生活を送れる環境が整備されています。